5月の消費者物価指数2.1%増加
総務省は6月24日、2022年(令和4年)5月分の「消費者物価指数」(全国)を発表しました。
それによると5月の「総合」ポイントは、去年の5月よりも2.5%増加。
同じく「生鮮食品を除く総合」は2.1%増加、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」は0.8%増加となりました。
2022年の4月も、今回発表のあった5月と同様の上昇率で推移しています。
3ヵ月分の消費者物価指数を時系列でみてみましょう。
■2022年の全国・消費者物価指数(前年同月比)
2022年3月 | 2022年4月 | 2022年5月 | |
---|---|---|---|
総合 | 1.2%増 | 2.5%増 | 2.5%増 |
生鮮食品を除く総合 | 0.8%増 | 2.1%増 | 2.1%増 |
生鮮食品及びエネルギーを除く総合 | 0.7%減 | 0.8%増 | 0.8%増 |
消費者物価指数とは
そもそも「消費者物価指数」とは一体どういう意味でしょうか。
これは、消費者が購入する商品の値段やサービスを利用するのにかかる料金の動きを把握するための指標です。
私たちが購入する商品は、さまざまな社会的背景により日々価格が高くなったり安くなったりしています。
その商品価格=消費者物価の上昇率の平均を算出したものが「消費者物価指数」と呼ばれるものです。
「消費者物価指数」の統計データは毎月総務省から発表されています。
総務省が発表する指標には「総合」「生鮮食品を除く総合」「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」の3項目、またそれぞれに全国と東京都区部の2種類があります。
- 「総合」…文字通りすべての商品を総合した指数です。
- 「生鮮食品を除く総合」…生鮮食品は天候要因などで価格変動が激しいため、それを除いた品目の値段を集計して算出される指標です。
- 「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」…こちらは生鮮食品に加え、エネルギーを除いた品目の集計値となります。
これでもまだ分かりにくいですよね。
身近な例え話で置き換えてみましょう。
集計対象の品目が全て買い物かごの中に入れられていたとします。
この商品をすべて買うのに、どれくらいのお金が必要かということです。
2022年5月の「消費者物価指数 総合」の上昇率は2.5%増でした。
この2.5%増加は、1年前の2021年5月と比較したときの上昇率です。
仮に2021年時点で買い物かごの商品をすべて購入するのに10万円が必要だったとします。
2022年5月時点では去年より2.5%増加しているので、買い物かごの商品をすべて買うのにかかる値段は10万×1.025%で10万2,500円になるというわけです。
※2021年5月の「消費者物価指数」を100.0%と仮定したときの計算
2022年5月の品目別上昇率
2022年5月の品目別ではどれほどの上昇率だったのでしょうか。
主な内訳は次の通りです(一部抜粋)。
※中分類、小分類もあわせて表示。
■食料:全体4.1%増加
内訳
「生鮮野菜」13.1%増(たまねぎ125.4%増加など)
「生鮮魚介」12.2%増(まぐろ16.6%増加など)
「生鮮果実」11.0%増(りんご34.0%増加など)
■光熱・水道:全体14.4%増加
内訳
「電気代」18.6%増
「ガス代」17.0%増(都市ガス代22.3%増加など)
「他の光熱」25.1%増(うち、灯油25.1%増加など)
品目別では「光熱・水道」カテゴリーの上昇率の高さが伺えます情勢などによる原油価格高騰を背景とするものです。
月別の消費者物価指数の推移をみると、2022年5月は2022年4月と同じ水準で上昇しています。
先ほどと同じ表をもう一度見てみましょう。
■2022年の全国・消費者物価指数(前年同月比)
2022年3月 | 2022年4月 | 2022年5月 | |
---|---|---|---|
総合 | 1.2%増 | 2.5%増 | 2.5%増 |
生鮮食品を除く総合 | 0.8%増 | 2.1%増 | 2.1%増 |
生鮮食品及びエネルギーを除く総合 | 0.7%減 | 0.8%増 | 0.8%増 |
「生鮮食品を除く総合」の全国・消費者物価指数の2%越えは、増税の影響で上昇した2015年3月の2.2%増以来、約7年ぶり。
増税の影響を除いては2008年9月に記録した2.3%以来となり、約13年ぶりの水準となっていました。
2022年4月に続き、2022年5月も高い水準で推移しています。
携帯電話の物価指数は減少
一方、価格が下落したカテゴリーもあります。
それは携帯電話です。
■交通・通信:全体0.8減少
内訳
「通信」11.4%減(うち、携帯電話が22.5%減少)
日銀の物価上昇率2%目標は達成も…
日本銀行(日銀)が達成を目指す物価目標2%という数値。
2022年4月に続いて5月も目標を達成しています。
しかし、さきほどの内訳をみてきた通り、「食料」や「光熱・水道」をはじめとする生活必需品の値上げが目立ちます。
日銀が当初想定した物価上昇は賃上げを伴うもの。
つまり、物価上昇と賃上げで景気の好循環を生み出すというものでした。
ではその賃上げ率はどうなっているのでしょうか。
2022年5月に発表された日本経済団体連合(経団連)が公表した賃上げ率は2.27%。
業種別では建設(3.76%)や鉄鋼(2.98%)などで大幅な上昇を見せた一方、14業種中6業種で1%台、さらに商業と貨物輸送では前年を下回る結果に。
業種別に差が出ている現状が懸念視されています。
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