FXで得た利益が雑所得になる理由&税金への対策について

FX取引と言ったとき、多くの人が思い浮かべるのは為替レートの変動から得る利益かもしれません。

しかし、その利益は単にポケットマネー程度のものと捉えられていることが多いです。

そのギャップを埋めるために税法上の捉え方、具体的には雑所得の規定について理解することが重要です。

FX取引の確定申告の方法については、以下の記事をご覧ください。

FX取引と雑所得の関連性

FXで得た利益は、税法上どのようになるのでしょうか?

ここからは、FX取引における雑所得について紹介します。

FX取引の概要

外国為替証拠金取引(FX取引)とは…
特定の通貨を売買し、その差により利益を得る投資方法のこと。

外国為替証拠金取引(FX取引)とは、ある通貨を売り、別の通貨を買い、その為替差により利益を得ることを目指す形態の投資です。

24時間、世界中のマーケットで取引が行われており、レバレッジ(金融商品を購入する際に、借り入れ資金を多くすることでリスクを高め、その分大きなリターンを狙うこと)と言う利点もあります。

また、リスクが高いものの、大きな利益を得ることが可能であり、近年一般投資家にも人気が出てきています。

FX取引は、開始資金や継続的な費用が少なくて済むため、比較的誰でも参加可能な投資手段なのです。

雑所得とは何か

雑所得とは…
所得源に該当しない、一時的や特定の行為から発生する所得のこと。宝くじや年金などが該当する。

雑所得というのは、給与所得や事業所得、不動産所得といった一定の所得源に該当しない、一時的や特定の行為から発生する所得を指します。

例えば…
パチンコでの当選金や宝くじの当選、また年金等一時金などが該当します。

この雑所得には独自の税率や一定の控除が適用され、それぞれ異なる課税方法が存在します。

ギャンブル等から得た所得は雑所得とされ、そのために利益がある場合は確定申告が必須となります。

雑所得とFX取引の関係

FX取引における利益も、一般的なサラリーマンの給与所得やビジネスによる事業所得とは異なり、税法上では雑所得とみなされます。

これは、FX取引が為替差益を目指す投資であり、その差益が一時的なものであること、また取引そのものが特定の行為であるためです。

したがって、FX取引により利益を得た場合、それは雑所得として確定申告を行う必要があります。

FX取引を行う際は、雑所得との関連性を理解しておくことが重要となるのです。

FX取引による所得の計算方法

FX取引で得た所得は、所得税の対象となります。

その基本となる計算方法について、一緒に見ていきましょう。

FX取引の所得計算は、取引による利益と損失の計算が基本になるため、その具体的な計算例もあわせて解説します。

FX取引での利益計算の基本

  • 売却価格から購入価格を引いた金額が「利益」となる
  • 同じ通貨ペアで複数回取引を行った場合も、それぞれの取引の利益を計算する
  • スワップポイントが発生した場合はその利益も加えて計算する
  • 手数料やレバレッジも計算に影響する

FX取引で得た利益を計算する際は、売却価格と購入価格の差額を基に計算します。

具体的には、売却価格から購入価格を引いた金額が利益となります。

同じ通貨ペアで複数回取引を行った場合も、それぞれの取引について利益を計算し、その合計を集計すればFX取引の利益がわかります。

ただし、スワップポイントが発生した場合は、その分も利益の計算に加える必要があります。

スワップポイントは通常、翌日の為替レート差による金利差が受け取れるポイントのことで、これがプラスになった場合も利益に加算します。

また、手数料やレバレッジの影響も収支に影響を及ぼすので念頭に置いておきましょう。

FX取引での損失計算の基本

  • 売却価格が購入価格を下回った場合、その差分が「損失」となる
  • スワップポイントが発生したら、その分も計算に含める
  • 損失額はマイナス表示になるものの、確定申告時にはマイナスの数値で計算する

FX取引の損失計算も基本的には売却価格と購入価格の差額で行います。

売却価格が購入価格を下回った場合、その差分が損失となります。

また、スワップポイントが発生した場合は、その分も損失の計算に含める必要があります。

スワップポイントがマイナスになった場合は、その差額を損失に加算します。

複数の取引の結果を一つずつ計算し、その全てを合算することでFX取引の損失を計算します。

注意点としては、損失額はマイナス表示になりますが、確定申告時にはマイナスの数値で計算します。

これは、損失が利益に対してマイナスの影響を及ぼすからです。

FX取引所得の具体的な計算例

FX取引の所得計算の具体的な例を挙げていきます。

例えば…
1米ドル=100円時に1000ドル分(100,000円)購入。
その後1米ドル=110円時に売却した場合、価格は110,000円となる。

したがって、利益は売却価格から購入価格を引いた10,000円となります。

例えば…
1米ドル=120円で1000ドル(120,000円)購入。
その後1米ドル=110円で売却した場合、価格は110,000円となる。

よって、損失は売却価格から購入価格を引いたマイナス10,000円となります。

この数値を確定申告の際に申告することになります。

FX取引による雑所得の課税

FX取引についての変動益や損失は、税法上「雑所得」として扱われます。

そのため、FX取引による利益は雑所得として課税対象となり、一年間の投資で得られた利益らを雑所得として申告する必要があります。

ただし、雑所得の金額が税金の課税対象となるため、確定申告における計算方法を理解することが必要です。

FX取引の雑所得税換算例

FX取引の雑所得税は、年間の取引総額から取引コストを控除した「純利益」に対して課税されます。

例えば…
1000万円(年間の売上) − 200万円(取引コスト)= 800万円がその年の雑所得となる。

そして、この雑所得に対して、次に触れる雑所得税率による税金が課せられます。

複数の取引がある場合は、すべての取引を合算して計算します。

また、この計算の結果、損失が出たとしても損益通算が可能なので、確定申告時にはその部分もきちんと申告しましょう。

雑所得税率の詳細

雑所得に対する税率は所得金額によって異なります。

  • 所得金額が195万円以下:5%
  • 所得金額が195万円超〜330万円以下:10%
  • 所得金額が330万円超〜695万円以下:20%
  • 所得金額が695万円超〜900万円以下:23%
  • 所得金額が900万円超〜1800万円以下:33%
  • 所得金額が1800万円超〜4000万円以下:40%
  • 所得金額が4000万円以上:45%

また、これらの税率に加えて、復興特別所得税として2.1%が加算されます。

このため、確定申告時には自身の所得額に見合った税率で計算を行うことが重要です。

FX取引と住民税

FX取引による雑所得には、所得税とともに住民税も課税されます。

所得税は前述の通り、各所得に応じた税率が適用されます。

一方、住民税は固定額と所得割があり、固定額は住む市町村により異なりますが、所得割は所得金額に対する率で計算されます。

県民税と市民税がそれぞれ10%ずつ課税されるため、合計20%の税率が適用されます。

ただし、平成30年分から5年間は特例措置が施行されており、一部の低所得者については所得割が軽減される場合があります。

FX取引と雑所得に関する法改正情報

FX取引と雑所得に関連する法改正があり、投資家はその内容を把握し、有利に取引を行うための税金対策を調整することが必要となります。

FX取引やその他の金融商品の利益は、雑所得として課税対象となるため、新たな法改正が雑所得や所得税にどのような影響を及ぼすのか、細部まで理解しておくことが求められます。

最新の法改正情報

最新の法改正では、FX取引の税率が変動する可能性があります。

まずはこの新たな法律が何をもたらすのか、具体的にどのような内容なのかを把握することが大切です。

具体的な内容としては、FX取引の利益にかかる税金が定額制から累進制に変更されるといった方向性が示されています。

累進制とは収入の多い者から多く税金を取るという形で、これまでの平等な税率から大きくシフトする可能性があるのです。

また、損益通算の期間や金額についても改正される可能性があり、これにより損失を出した場合の税金負担が軽減されることも考えられます。

法改正がFX取引に与える影響

この新たな法改正が適用されると、FX取引の結果によっては大きな税額の変動が生じます。

具体的には、取引で大きな利益を上げた場合、それまでよりも高い税率が適用され、その分だけ税金の負担額が増えます。

また、取引による損失があった場合、その損失額を他の所得と通算する期間や範囲が拡大される可能性があるため、全体の税金負担が軽減されることもあります。

しかし、これらの変更は取引の途中で行なわれることは基本的になく、提案された法改正が施行されるまでの準備期間があります。

法改正を受けた税金対策の変更点

法改正が発表された場合、FX投資家としては早急に対策を立てる必要があります。

まず、自身の投資スタイルが新税制にどれほど影響を受けるのかを詳細に把握することが重要です。

高額な益金が見込まれる中長期保有型の投資家にとっては、税率の改正が直に影響するため、具体的な対策が求められます。

一方、短期取引を主体とする投資家にとっては、損益通算のルール改正が重要となるでしょう。

また、必要に応じて税理士等の専門家に相談し、より詳細な対策策定や税務申告に対応することも必要になります。

FX取引と雑所得について

FX取引で得た利益は雑所得として計算されますが、その計算方法が一般的な所得計算とは異なります。

ここは、あくまで専門家のアドバイスを頼りに、賢く税金対策を行っていくことが大切です。

専門家によるFX取引の税金対策

FX取引での税金対策として、専門家が提唱するのは、損益通算制度を活用することです。

これは、年度内の取引の損益を全て通算し、その結果を所得計算に反映させる制度です。

損益通算を上手く活用することで、FX取引で失う可能性のある税金を最小限に抑えられます。

この制度を理解し、どのように活用するかは専門家に教えてもらうのが一番です。

そして、そのアドバイスを生かしてFX取引を行っていくことが、税金対策の一つと言えるでしょう。

専門家による確定申告のアドバイス

専門家によれば、FX取引での確定申告は、一定の知識と手間を要します。

しかし、それを専門家に任せることも可能です。

FX取引の税金計算は複雑であるばかりか、誤った申告は後に厳しい罰則が待っています。

また、確定申告は毎年行わなければならないため、ミスが無いように注意が必要です。

そのため、専門家による確定申告のアドバイスをうけて、正確な申告をすることが推奨されています。

FX取引で得た利益を最大限に生かすためにも、専門家のアドバイスは欠かせないものとなります。