記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
知り得た内部情報を利用し、株式を売買することで利益を得る「インサイダー取引」は、金融商品取引法で規制されています。発覚した場合、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科されます。
では、仮想通貨取引の場合、どのような情報がインサイダー取引に該当するのでしょうか?本記事では、仮想通貨取引でインサイダー情報になり得る情報についてや、発覚した場合の刑罰などを詳しく解説します。
その他仮想通貨の法律に関する情報は、以下の記事を参考にしてください。
そもそもインサイダー取引とは
インサイダー取引とは、市場における内部情報を利用して行われる取引のことです。
- インサイダー取引とは
市場における内部情報を利用して行われる取引のこと
特に、リーク情報を活用し、不正な利益を得る行為を指します。
仮想通貨は独自の情報に基づく投資が可能のため、摘発が難しいという問題も。
今回は、仮想通貨におけるインサイダー取引について解説していきます。
インサイダー取引になる仮想通貨の情報
仮想通貨取引では、主に一般売買者には非公開の情報がインサイダー情報と言われています。
具体的には、以下のような情報がインサイダー情報と見なされる可能性があるようです。
- 未公表の価格変動情報
- 未公表の仮想通貨の上場情報 など
未公表で、かつ価格に影響を及ぼす情報を知っていて取引をしてしまった場合、インサイダー取引と見なされる可能性が高いと言えるでしょう。
インサイダー取引の法的位置づけ
仮想通貨のインサイダー取引についての法律は、国や地域によって大きく異なります。
日本の金融商品取引法では、証券の内部者取引は厳しく規制されていますが、仮想通貨への適用は明確でない状況です。
一方アメリカでは、金融庁の資料によると、連邦レベルならインサイダー取引に関する規制は存在しないとのこと。
EUにおいては、インサイダー取引への関与や、他人にインサイダー取引を推奨することも規制されています。
このような規制の違いに加え、仮想通貨のグローバルな性質から国際的な枠組みの制定も求められているのが現状です。
日本法には明記されていない
仮想通貨におけるインサイダー取引について、日本の法律には明確な記載がありません。
なぜなら、インサイダー取引の禁止などを記した日本の金融商品取引法は有価証券(株式など)のみが対象となっており、仮想通貨は含まれていないためです。
このことから、仮想通貨のインサイダー取引は「現時点では違法ではない」という立ち位置になっています。
しかし、だからといって仮想通貨のインサイダー取引が認められているわけではないという点に注意が必要です。
2017年には仮想通貨法が施行され、仮想通貨に関するルールが整いつつあります。
近い将来、このような仮想通貨規制の動きは世界的にも加速すると言われており、いずれインサイダー取引が禁止される可能性は高いと言えます。
仮想通貨|インサイダー事件事例紹介
ここからは、実際に起った仮想通貨のインサイダー取引事件について紹介します。
事件を起こした人物がどのように裁かれたのか、過去の事例を見ていきましょう。
Coinbase|マネージャーが情報を兄弟に伝え、トークン売却
2022年7月、アメリカの大手仮想通貨取引所・Coinbaseの従業員ら3人が、インサイダー取引を行ったとして逮捕されました。
従業員とその兄弟、友人の3人は、Coinbaseに新規上場する銘柄を知ったうえで、利益が出ることを見込んで取引を行っていました。約10ヶ月にわたって行われたインサイダー取引で得られた額は、合計約2.2億円と言われています。
その後、元従業員のイシャン・ワヒ氏は禁固2年、イシャン・ワヒ氏の兄弟であるニキル・ワヒ氏は懲役10ヶ月の判決を受け、現在刑務所に収監されています。もう一人の元同僚は、現在逃亡中とのことです。
この事件は史上初の仮想通貨のインサイダー取引として、今も多くの人に知られています。
Reddit|未発表情報でトークン売却したモデレーター解雇
2023年10月には、投稿型のソーシャルサイト「Reddit」のr/CryptoCurrencyコミュニティのモデレーターによるインサイダー取引の疑惑が浮上しました。
2023年、Redditがコミュニティポイントプラグラムを、「スケーラビリティの問題」を理由に突然閉鎖。発表後、MOONを含む多くの仮想通貨の価格が急落しました。
オンチェーン分析によると、この発表の約30分前、3人のr/CryptoCurrencyコミュニティのモデレーターがMOONを大量に購入しており、発表後すぐに売却することで大きな利益を得ていたことが判明しています。
その後3人のモデレーターは、チームから解雇されています。
仮想通貨インサイダーと刑事責任
仮想通貨市場でのインサイダー取引については、どのように取り扱われ、どの程度の罰が科されるのか、まだ明確なルール作りが進んでいません。
ここからは、インサイダー取引における刑事責任について見ていきましょう。
インサイダー取引の摘発が難しい理由
仮想通貨インサイダー取引は違法行為であり、適用される法律によっては重い刑事罰が科される可能性があります。
しかし、インサイダー取引は、情報という抽象的なものを利用するため、証拠の収集や証明が難しいものです。
そのため、多くのケースで、摘発が難しいという現状があります。
国際的な犯罪への対応
仮想通貨市場はいわゆる国境を越えて行われているため、国際的な対応が求められます。
しかし、格差存する法制度や規制がそれを難しくしています。
それぞれの国や地域によって異なる規制や法律面での考え方があるため、国際的な調和が図られるには時間と労力が必要です。
しかしながら、インターポールやEC3(ヨーロッパサイバー犯罪センター)など、国際的な犯罪組織との連携も進んでおり、利用者を保護し、インサイダー取引などの違法行為を防ぐ取り組みが進められています。
まとめ|仮想通貨のインサイダー取引とは?
仮想通貨のインサイダー取引に関する規制は、国によって異なります。
例えば、アメリカでは連邦レベルだと特に規制がされていませんし、EUではインサイダー取引も、インサイダー取引への勧誘や紹介も規制されています。
日本では、金融商品取引法の対象商品に仮想通貨が含まれていないため、特に規制されていないのが現状です。
しかし、仮想通貨に関する法規制は年々整備されつつあり、近い将来、仮想通貨のインサイダー取引が規制される可能性も高いと言えるでしょう。
これらの内容を把握し、インサイダー取引をしないように注意してください。