【詐欺】ポンジスキームとは?|手口や被害事例、対策を徹底解説

近年、ビットコインの高騰で仮想通貨に興味を持ち始めた方も多いのではないでしょうか。投資対象として見ている方も少なくないようです。

しかし、仮想通貨の世界ではまだまだ詐欺が多いという現状があります。特に多い詐欺手法が、ポンジスキームです。

本記事では、詐欺の被害事例と、詐欺に遭わないための対策をお伝えします。事例を知っているだけで詐欺に遭う確率がグンと減るので、ぜひ最後までご覧ください。

ポンジスキームとは?|出資金詐欺

ポンジスキームは、代表的な投資詐欺の手法のひとつです。投資家に「出資してくれれば、運用して短期間で高い配当を支払う」などと話を持ちかけ、実際には運用せず、最終的に資金を持ち逃げする詐欺のことを指します。

最初のうちは他の投資家から集めた資金を「配当」として渡されるため、詐欺が発覚するまで時間がかかるところが大きな特徴です

この「ポンジスキーム」という名前は、1920年代、最初にこの詐欺の手法を生み出したチャールズ・ポンジという人物が由来となっています。

チャールズ・ポンジとは…
投資家から集めた資金を運用せず、資金が集まったところで持ち逃げする詐欺を行った人物

現代日本においても、ポンジスキームは未公開株や仮想通貨などで横行しています。

ポンジスキーム|4つの被害事例

ここからは、実際にあったポンジスキームの被害事例についてお伝えします。

  • ナスダック事件(ネズミ講詐欺)
  • ビットクラブ事件(マルチ商法)
  • 平成電電事件(マルチ商法)
  • かぼちゃの馬車事件(不動産投資詐欺)

詳しく確認していきましょう。

ナスダック事件|ネズミ講詐欺

  • NASDAQ株式市場の元会長バーナード・マドフ氏が起こしたポンジスキーム事件
  • 高い利回りを謳って投資家から金を集め、実際には運用せず
  • この詐欺は25年にわたって行われた
  • 2008年に逮捕、150年の禁固刑を宣告される
  • 2021年、服役中に死去

ナスダック事件とは、今なお米国史上最大の金融詐欺として語り継がれている、ポンジスキームの詐欺事件です。

主犯は金融界の大物だったこともあり、多くの人が被害に遭いました。その被害総額は640億ドル(約7兆円)とも言われています。

ナスダックの元会長が行っている資金運用ということで、スティーブン・スピルバーグなどの著名人や、野村証券などの日本企業も被害に遭いました。

どんなに有名な人でも、高い利回りを謳っている儲け話は、一度疑うようにすることが大切です。

ビットクラブ事件|マルチ商法

  • 「BitClub Network」という団体が起こしたポンジスキーム事件
  • ビットコインのマイニング設備への投資と称し、資金を集めたとのこと
  • 被害総額は7億2200万ドル(約800億円)
  • 2019年に運営者の3人が逮捕

ビットクラブ事件は、最近起こったポンジスキーム事件です。

ビットクラブの公式サイトには、「500ドル~3,500ドルを支払うと、600日間にわたって収益を受けられる」と記載されています。

つまり、他の投資家から受け取ったお金を配当として支払っているだけの、典型的なポンジスキームだったのです。

また、高額な紹介料が支払われていたことから、ねずみ講にも該当します。

平成電電事件|マルチ商法

  • 電気通信事業を行っていた平成電電株式会社が起こしたポンジスキーム事件
  • 出資金で通信設備を購入し、毎月貸出料を支払うサービスを展開
  • 新規顧客から集めた金を、既存の顧客に渡すという典型的なポンジスキーム
  • 年利最大10%と高い利回りを謳って約490億円を集める
  • 2005年、会社は約1200億円の借金を抱え、破産
  • 元経営陣は詐欺罪で逮捕された

平成電電事件は、電気通信事業を行っていた平成電電株式会社が起こしたポンジスキーム事件です。

投資家から集めた金で通信設備を会社が購入し、毎月貸出料として投資家に配当金を支払うと謳ってお金を集めました。しかし、実際は新規顧客から集めたお金を既存の顧客に渡しているだけのポンジスキームだったようです。

そのため、会社は新規顧客が尽きた頃には、なんと1200億円もの負債を抱えていたといいます。その後会社は破産し、元経営陣は逮捕されました。

かぼちゃの馬車事件|不動産投資詐欺

  • 「かぼちゃの馬車」は、株式会社スマートデイズが展開していた女性専用シェアハウスのブランド名
  • 不動産オーナーに銀行からの借入をして物件を購入してもらい、会社から入居者に提供していた
  • 利回り8%を30年間保証するなどの高い利回りが特徴
  • しかし会社から賃料が支払われず、最終的には経営破綻
  • 不動産オーナーに多額の借金が残る結果に

次に紹介するのは、株式会社スマートデイズが提供していた女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」にて起こった事件です。正確にはポンジスキームと少し異なりますが、不動産のスキームがポンジスキームに似ているため紹介します。

「かぼちゃの馬車」は、東京都内に、賃料月4〜6万円・敷金礼金無し・インターネットや光熱費無料で入居できるというサービスでした。

しかし、先述したようにオーナーに賃料が支払われず、結果的に物件のオーナーに多額の借金が残ることになったのです。被害総額は1000億円以上と言われています。

ポンジスキームの手口と対策

紹介したように、ポンジスキームの詐欺事件には、いくつかの共通点があります。

  • あきらかに高い利回り報酬
  • 元本保証でノーリスクをアピール
  • 初期は少額投資で配当金も支払う
  • 紹介システムを採用している

ここからは、ポンジスキームの特徴と手口、そしてその対策について紹介します。

あきらかに高い利回り報酬

ポンジスキームの詐欺では、新規顧客から多くのお金を集める必要があるため、高い利回りを提示しているケースが多く見られます。月の利回りが10%を超えるなど、現実的ではない数字ばかりです。

そのため、まずは投資ジャンルごとに、利回り相場について調べましょう。

同じジャンルごとの、利回りの相場を調べる

元本保証でノーリスクをアピール

また、元本保証など、保証を提示することでノーリスクをアピールしていることも多くあります。

しかし、世界で元本保証のある金融商品は、銀行に預ける預貯金のみ。それ以外の金融商品を、元本保証・元本確保の商品として提供することはできないと法律で決まっています。(出資法違反)

そのため、元本保証がある投資話こそ警戒しましょう。

基本的に元本保証があるのは銀行に預ける預貯金だけ。それ以外は要警戒!

初期は少額投資で配当金も支払う

ポンジスキームのよくある特徴として、最初のうちは配当金が支払われるという点が挙げられます。

実際には他の投資者から受け取ったお金を渡しているだけなのですが、受け取った側は安全だと思い込んでしまいます。儲かると確信させた後は、投資額を増やすように勧めてくるケースもあるようです。

同じ投資で被害に遭った人がいないかなど、リサーチを徹底することが、詐欺を未然に防ぐ方法と言えるでしょう。

同じ投資方法・投資家の詐欺報告がないかを徹底リサーチ

紹介システムを採用している

高額な紹介料を設定している投資話にも注意が必要です。

ポンジスキームを成功させるには、新規顧客の獲得が要となります。そのため、既存の顧客に多くの人を紹介してもらうよう、高額な紹介料を設定していることが多いのです。

詐欺だと知らずに知人に勧めてしまうケースも多発しており、紹介料がある投資話は警戒しましょう。

高額な紹介料がある投資話には要注意

法と規制によるポンジスキームの撲滅に向けて

ポンジスキームによる詐欺を無くすには、金融機関によるセキュリティの強化や、投資家による情報収集が大切です。

ここからは、ポンジスキームの撲滅に向けて行われている法整備について解説します。

世界各国の金融規制とポンジスキーム

金融市場のセキュリティは、投資者を保護して不正行為を防止するための、いわば最前線です。

特にポンジスキームといった詐欺が巧妙化する中で、金融市場を監督し、強化することが不可欠であると言えるでしょう。

金融監視機関は、投資詐欺を未然に防ぐため、市場での不審な動向や異常な取引パターンを監視し、警告を発する体制を整備しています。

また、セキュリティ強化は技術の進歩によってもたらされることが多く、最新のIT技術を活用した不正行為検出システムなどが開発されているようです。

法律遵守と金融教育の連携の重要性

これまでポンジスキームなどの法律に反した詐欺事件が明るみに出ると、既存の規制や仕組みの見直しが求められてきました。

例えば、大規模な詐欺事件が発覚した後に法律が改正されたり、新たな規制措置が導入されることもあります。投資案件の公開前に厳しい審査を義務付けることで、悪質な業者の進出を阻止する狙いがあるようです。

また、被害を最小限に留めるため、監視機関の監督体制も強化され、さらに投資家教育を通じて一般の投資家の意識向上にも力が入れられるようになりました。

これらの変化は、法律違反ケースを教訓とし、今後の金融市場を守るための歩みだと言えるでしょう。

未来に向けた持続可能な金融システムのために

投資家個人の経験談や実際に遭遇した被害事例の報告は、同様の詐欺を未然に防ぐための重要なポイントとなります。

公式な監視機関による警告も非常に有効ですが、実際に被害に遭った人々の生の声は、他の投資家にとって身近な情報として重く受け止められます。実例報告は金融教育の一環として大いに役立つのです。

また、これらの報告が集積されることで、監視機関がパターンを分析し、未来におけるリスクへの早期対応の礎を築くことができます。

投資家一人ひとりが、情報共有する意識を持ち合わせることが、市場をより安全なものにしていくでしょう。

ポンジスキーム被害事例紹介|まとめ

今回は、ポンジスキームについて紹介しました。ポンジスキームとは、「資金を預けてくれれば、高い利回りを約束します」などの話を持ちかけ、実際には運用せず、最終的に持ち逃げする詐欺手法のことを指します。

ポンジスキームの投資に見られる特徴は以下の4つです。

  • あきらかに高い利回り報酬
  • 元本保証でノーリスクをアピール
  • 初期は少額投資で配当金も支払う
  • 紹介システムを採用している

最初のうちはきちんと配当金が支払われることから、詐欺と気がつくのに時間がかかるという特徴があります。過去のポンジスキームの事例を学ぶことで、今後の被害を未然に防ぎましょう。